会員の荒井(辰巳)悦加さんが念願の“日本チャンピオン”に!

〜2012年6月10日 第96回日本陸上競技選手権大会 (女子3000m障害)〜

記:松本耕司(高16=北4)


近畿双松会会員の荒井(旧姓辰巳)悦加(よしか)さん(高51=北39期、エディオン所属)が、標記の大会で女子3000m障害の女王、早狩実紀(京都光華AC)さんの7連覇を阻み、オリンピック派遣B標準記録には届かなかったものの、初の日本チャンピオンになった。
135年の歴史を有するわが母校の陸上部OB会(以下、三柳会)であるが、日本チャンピオンに輝いたのは、1961(S36)年の男子棒高跳の山田寧先輩(高9、当時日体大)以来、半世紀ぶり二人目、女性では初めての偉業であり、これまでの荒井さんの努力を心から讃えたい。
 
荒井さんは2007年の世界陸上競技選手権(大阪)に日本代表として出場の後、実業団のノーリツを経て2009年に広島市に本社をおくデオデオ(現在名エディオン)に移籍し、現在は、同松江店に勤務している。結婚後の新居を鳥取県境港市にかまえ、基本的にはひとりで練習し、合同練習時には広島に出かけるという中で競技者生活を続けてきており、かなり厳しい環境の中でこの快挙にたどりついたものである。
近畿双松会との関係では、2007年世界陸上時に応援をしたのを機会に同年の近畿双松会総会で講演、同時に最年少の会員として入会されるなど、その謙虚で明るい人柄から多くの会員の応援を得るようになっていた。新年の都道府県女子駅伝には会員の中から応援に駆けつけるファンもできるなど、会員としても個人としても密接な関係ができあがってきている。

世界陸上出場後の数年は、成績に恵まれたとは言えず、足の故障、また今年になってからの不整脈の手術などの試練も訪れたが、今年になって調子も上向き、今回の大阪での日本選手権の前には、荒井さんからアメリカの合宿でも十分な走り込みができたとの連絡が入ったことから、近畿双松会としても三柳会近畿在住者を中心に、荒井さんの応援に長居に集合することにした。

当日6月10日(日)は、長居スタジアムで荒井さんの北高時代の監督の玉野二三男先生、ご主人の荒井剛さんとも運よく合流でき、総勢13名の見守る前で、15時20分、快晴のもとでレースが開始された。(詳細は押田会長撮影の動画をご覧ください)
レ−スは女王の早狩さんが先頭を切る形で始まり、荒井さんを含め4名が先頭集団を形成したが、早狩さんが体調不十分であったのかズルズルと後退し(最終7位)、最後の2周は先頭を逃げる中村仁美さん(パナソニック)を荒井さんが追走するマッチレースになり、「最初に早狩さんに勝つのは自分」と言い聞かせていた荒井さんが、最後の水濠を終えてからの150mを見事なラストスパートを見せて逆転、そのままゴールに駆け込んで初の日本チャンピオンに輝いた。記録は9分55秒93。自己ベストの9分53秒87にはわずかながら及ばなかったが、日本選手権では3年ぶりの9分台を出しての快心のレースだった。
応援の13名も最高の結果に大喜びをし、レース後に応援のお礼にスタンドを訪れた荒井さんと記念写真におさまってもう一度大満足、さらに男性陣は長居駅前で祝杯をあげるなどして、素晴らしい一日が終わった。

レース後、荒井さんは来年8月のモスクワでの世界選手権出場を目標に練習を重ねたいと語っており、早狩さんを破って日本チャンピオンになった自信を土台に、更に大きな飛躍を遂げて欲しいと祈っている。今後とも会員の皆さんのご関心、ご支援を心からお願い申しあげたい。

■追伸: 
実は、大会二日前に我々の時代の北高陸上部監督、大熊喜三郎先生の訃報を松江からの連絡で知った。告別式が10日午後3時からと聞いて、告別式の最中に決勝のレースがおこなわれることを知ってその偶然に驚いた。
荒井さんと大熊先生の間には直接の面識はないと思うが、応援に集まった者は殆どが大熊先生の教え子であったので、弔い合戦という訳ではないが、「いいレースをして欲しいな」という思いはいつもより強かったのは確かであった。
その意味でも荒井さんの優勝は、長い歴史を持つ三柳会の一員としては心に刻まれる出来事であった。荒井さんに感謝したい。
                                                                



■なお、当日のご参加者は下記のとおり。
伊藤雅義(高1)押田良樹(高11)田中年恵(高29=北17)藤城坦(ゲスト)玉野二三男(元北高陸上部監督)荒井剛(荒井さんご主人)■(以下は三柳会近畿在住者)寺本尚由(高5)藤城綾子(高12)二階堂孝子(高15=北3)松本耕司(高16=北4)木島光子(高17=北5)江角健一・万波迪義(高19=北7)
なお、寺本尚由さんからは、三柳会大先輩の吉岡孝夫さん(中68)、吉岡幹雄さん(高4)にこの結果のご報告をしたところ大喜びをされたとのご連絡をいただいたことを付言する。
静止画による実況
動画による実況  (撮影者が応援に熱中したため冷静さを欠き大切な場面で手ぶれが多く、目が疲れるかもしれませんが辛抱してご覧ください。またカメラの周囲の応援の大声も邪魔になるため音声はカットしてあります)



記念写真