メールマガジン「さんみゃくうかびて」ご参加の皆様

近畿双松会 会長 松本耕司(16期)

歴史の狭間に埋もれた偉人、カルシュ博士のことをご存じですか?
その紹介を天命として活動される若松秀俊先生のことは?

ドイツ人哲学者フリッツ・カルシュ博士(1893~1971)は、旧制松江高校において大正の末から14年間(1925~1939)、ドイツ語教師として、また哲学・人智学者、教育者として日本の教育に大きな影響を与え、多くの有能な若者を育て、日本の人々とその心を愛し、また松江や日本の多くの原風景の写真も残しました。
家族とともに暮らした奥谷町の外国人官舎では松江の人々とのあたたかい交流も重ねました。学者としての業績も顕著でしたが、戦中・戦後の混乱の中、いつしか歴史の狭間に埋もれてしまった人でした。

若松秀俊先生(1946~)は、福島県いわき市のご出身。東京医科歯科大学名誉教授で生体機能支援システム工学の研究者です。松江とはご縁のなかった方ですが、20年前の1999年に偶然ご出張中のドイツのホテルでカルシュ博士の次女フリーデルンとの5分間の運命のような出会いに始まり、長女メヒテルトとの交流、今では存命者も少なくなった松江高校の卒業生たちからの情報収集等で、カルシュ博士の偉大さを知り、ご本職のかたわら、カルシュ博士の顕彰を天命とされて、この20年、心血を注がれている方です。

私は、若松先生の活動を早くに知る機会があり、カルシュ博士顕彰の精力的なご活動を驚嘆、敬服の思いで拝見していましたが、このたび久方ぶりの音信をいただいたことを機会に、近畿双松会の皆様にもご紹介したいと考えました。
ただ、若松先生のご活動は長期に国・内外にわたり、学術的のみならず、娘さんお二人から託された思いをも含む膨大なもので、詳細を私の力でご紹介することは無理ですので、先生のご了解をいただき、僭越ながら下記のとおりピックアップしてご紹介をすることを考えました。皆様もご関心に応じ、選択しながらお読みすすめいただければと思います。

特に奥谷町の官舎は、一時は取り壊し予定であったところを、2009年には保存修理が完了し、松江高校の後身である島根大学の申請で文化財登録の運びとなったことは、若松先生のご活動の大きな成果であったと考えます。奥谷町近辺ご出身の皆様、また島根大学ご関係の皆様には、是非ご一読いただければ幸いです。
また、松江の出身者にとっては、全編にわたり収録されている90年前の松江の風景や生活、お祭り(鼕行列やホーランエンヤ)の写真は興味深いものばかりですので、是非ご確認ください。
私もお世話になった大先輩がカルシュ博士の教え子であったと分かったり、生家近くの枕木山にカルシュ博士が何度も足を運ばれスケッチもされていたことを知ったのは新鮮な感動でした。皆様にもいろいろな発見がありますことを願っております。

皆様には「新型コロナ感染予防」でまだまだ不自由な日々が続くことと存じますが、引き続きご注意、ご自愛のほどを心からお祈り申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆下記より、適宜ピックアップし、ご関心に応じお読みすすめください。
それぞれにテーマ・切り口の違いはありますが、重複部分もありますこと、ご承知おきください。
(お時間がない場合は(2)-②「新版 四ツ手網の記憶」、(3)-③「朝日新聞連載」をおすすめします。)

◆基本的な情報:
(1)若松秀俊先生の「カルシュの研究」サマリー:
※カルシュ博士の顕彰活動に至る経緯、概要をご紹介。
⇒ カルシュの研究2.

(2)若松秀俊先生の著書二点:
「湖畔の夕映え カルシュ博士と松江」(平成13年、244ページ)              
※原点となる著書。                                   
「新版 四ツ手網の記憶」(平成28年、325ページ)                    
※旧制松江高校の紹介、生徒との交流、奥谷での生活、娘さんお二人のその後、松江高校教え子による日本招待、松江と近郊各地の90年前の多数の写真(鼕行列やホーランエンヤも)を収録。 
                
(3)「新聞連載記事」三点:
山陰中央新報「カルシュの足跡を追って」 (平成15年、32回)
※基本的な評伝記事。
読売新聞「島根の記憶」 (平成16年、15回)
※カルシュ撮影の写真と現在の対比に重点。
朝日新聞「ドイツ人哲学者がみた島根・日本」(平成20年、35回)
※奥谷・松江の街並み・島根半島各地の写真、松江高校の写真を挙げて解説(鼕行列やホーランエンヤまで)。

◆その他の情報:
(4)奥谷の外国人官舎の現在:  
※外国人官舎は、現在、「島根大学総合博物館アシカル」(分館)旧奥谷宿舎。

(5)石飛貞典氏(21期)のホームページ:
※21期の石飛貞典氏(松江一中卒、札幌市)が、一中20期同窓会のホームページの中で、カルシュ博士を紹介されている。
 カルシュ博士 
※カルシュ博士の紹介ページ                                    
 松江一中20期web同窓会・別館
※一中卒の方には興味深い情報が盛りだくさんですのでご覧ください。

◆さらに深く、全容をお知りになりたい方:
(6)「歴史の狭間に埋もれた教育界の偉人・カルシュ博士」(若松先生活動全データ)
※カルシュに関する全体的な解説

以上