第17回 文楽鑑賞会
日時/令和6年7月21日(日)
会場/国立文楽劇場
担当/宍道弘志事務局長(31)
演目/ 生写朝顔話

 今年度の文楽鑑賞会は近畿の梅雨明けが発表された猛暑の日だった。
 演目の『生写朝顔話
(しょううつしあさがおばなし)』は武士の娘の悲恋をテーマにしたもので、一目惚れした武士の行方を追い、これでもかこれでもかというほどの艱難辛苦を潜り抜ける悲劇である。
 実は、わたしにとって初めての文楽鑑賞経験だった。文楽には漠然としたイメージしかなかったが、実際に劇場で見て、興味深いと思った点や意外だった点がいくつかあった。
 まず、独特の節回しをする太夫の語りを聞き取れるかどうか心配だったが、舞台の上のところに「字幕」が出てくるようになっていたので、難なく理解できた。何と言っているのかを聞き取ろうと神経をとがらせる必要もなく、気楽に楽しむことができた。人形が演じ、大夫が説明や登場人物のセリフを語る形式は、弁士つきの活動写真と似た構造だと思った。また、大夫の語りにはとても感情が込められていて、表情も実に豊かであり、口で演じるというよりも首から上全体で熱演しているという感がした。それは、人形の顔が固定されていて比較的無表情に見えるのと対照的だった。そして人形の方は、顔よりもしぐさや動作によって感情を豊かに表しているというのが印象的だった。とくに女性が泣き崩れる場面などはいかにも文楽らしいと思った。
 意外だったことの一つは、セリフや動作で観客の笑いをとるような登場人物がいたこと。
わたしには、文楽というのは深刻な場面ばかりで構成されているのだろうという先入観があったからである。
 今回の演目は、10分ずつ2回の休憩を含め全体で4時間もかかった。映画なら2本くらい見た勘定になるが、それほど長く感じなかった。その理由は、映画やドラマにありがちな、筋を説明するために置かれるような部分がなく、見せ場ばかりで構成されていたからだろうと思った。
 近畿双松会の行事であるため、団体割引料金で見られたのもありがたかった。文楽未見の方には、ぜひ一度ご参加するようお勧めしたい。

◆参加者は下記の18名(敬称略)
押田良樹(11)・加藤巡一&家族(14)・松本耕司(16)・鶴羽孝子(22)・小松久美子・西村充子・松本幸子・山口紀子・葭田久美子(23)・徳田 完二(24)・小林宏・小林京子(25)・宍道弘志&家族(31)・橋本充男&家族・松岡茂(ゲスト)
                                (24期 徳田完二)