第2部 講演会

演題:「外科医として消化器癌と戰う」
•講師:土岐 祐一郎 氏(高30・理9期、大阪大学消化器外科学教授)
<講師略歴>母衣小•松江二中卒、1985年大阪大学医学部卒業、1993年米国コロンビア 大学留学、
2008年大阪大学消化器外科教授、2020〜2022年大阪大学医学部付属病院長
(病院長として新型コロナウイルス感染に対応)
•日本癌治療学会理事長、日本食道学会理事長、がん対策推進協議会会長
専門は消化器癌手術、特に食道癌
•高校時代は興味がなかったが、父、土岐俊一氏(北高数学教師)の希望があり医学の道へ 進む。中学時代はバスケット部、大学は卓球部



講演要旨
土岐氏は、松江北高の教師をされていたご父君が西川津の校内の宿舎に居を構えておられたことから、幼少時から北高に親しみ、幼・少年期を主に西川津で過ごされたとのことで、まずは幼・少年時の思い出から始まり、ご父君の俊一先生のことをユーモアを交えて話されました。
阪大医学部、外科医の道に進まれた経緯、阪大附属病院の院長を務めておられた時期の新型コロナ感染、特に2021年GW頃の第4波時の重症者受け入れ対応での厳しい体験談を披露されたあと、本題に移られました。
内視鏡やロボットなどによる外科手術の進歩、遺伝子パネル検査利用の治療、画像を使った治療、新しい抗癌剤、オプシーボなどの免疫療法、重粒子線治療などの最先端癌治療の紹介、さらに国のがん対策関係事業に関わっておられる関係から、癌治療だけでなく、癌患者の就労支援、小中高校生向けの癌に関する正しい知識の教育、癌患者に対する各種ケアなどの実践も紹介されました。
最後に、2001年に松江のくびきメッセでの講演で話されたことを引用して、土岐氏は進行癌の手術を専門にされているため、「メスの限界」に直面し「手術の神様」に頼るしかない状況に置かれることも多いけれども、「手術の神様」は「最大限の努力を尽くした者だけを救ってくれる、やるべきことは全てやった、後は神様に祈るのみ」いつもそのような気持ちで手術に臨みたいというお話をされ、大変感銘を受けました。
癌治療のまさに最前線で奮闘されている土岐氏ならではの貴重なお話をお聴きすることができました。土岐氏の今後の益々のご活躍をお祈りします。

土岐氏のご父君である土岐俊一先生は昭和27年から42年までと、昭和47年から59年まで2度にわたり通算27年間、松江北高の教壇に立たれ数学の授業を担当されました。出席者の中にも、教えを受けた会員が多く、懇親会では、土岐氏の席には引きも切らずに会員が挨拶に向かっていました。