2016年10月23日(日)

第6回里山歩くぞ!ハイキング・報告

「浄瑠璃寺、岩船寺、当尾の里の石仏を訪ねて」

報告者 松本耕司(16期)


京都のディープサウスで、電車の便は奈良からの方がいいという当尾(トオノ)の里、浄瑠璃寺、岩船(がんせん)寺の二つの隠れ古刹を結ぶ石仏の道を訪ねるというのが今回のハイキングの目的です。
今回もまた奈良のハイキングのプロ、田中由美子さん(16期)のプロデュ―スにより、6月25日には、押田良樹(11)、古川幸孝(14)、松本耕司・森藤哲章・田中由美子(16)、山嵜麻里子(20)、木山洋子(22)の7名の皆様のご協力を得て下見をし、自信をもって本番に臨むことができました。加えて、下見の打ち上げ時には北高3年、福田翔子選手の日本陸上競技選手権女子800優勝のニュースが飛び込んでくるという真に縁起のいい下見でもありました。

コースは、近鉄奈良駅⇒(急行バス)⇒浄瑠璃寺⇒からすの壺⇒笑い仏⇒弥勒の辻磨崖仏⇒三体地蔵⇒岩船寺(昼食)⇒不動明王石仏⇒首切地蔵⇒大門石仏群⇒浄瑠璃寺口バス停⇒(バス)⇒近鉄奈良駅で、歩行距離は6〜7q。一部に上り坂はありましたが、全体的にゆるやかな歩きやすいコースでした。 コース(マップ) 
参加者は、下記17名の方々でした。
佐々木悦子(9)、後藤武久・村尾俊治(11)、小泉勝是・宮原琢郎・三島幸子(14)、松本耕司・三成宏二・森藤哲章・田中由美子(16)、岡久夫(17)、渡辺悟・佐野和子・三好資子夫妻・山嵜麻里子(20)、木山洋子(22)
堀辰雄のエッセイ「浄瑠璃寺の春」に高校の教科書で出会われた人もあって、それもまた参加者の大きな楽しみになりました。 「浄瑠璃時の春」堀辰雄  
また、村尾さん、小泉さんはともに画伯と呼ばれるお二人ですが、このハイキングでいい題材が見つかればという思いがあったのかもしれません。

ところが本番を迎えて、今までが順調過ぎたのか数日前から天気予報が二転三転、一日前まで雨の心配があってヤキモキしましたが、結果は曇り時々晴れの絶好のハイキング日和となり、無事に開催することができました。なにやら、最後まで「ついていたな」という印象の今回の里山ハイキングでした。

 さて、当日は最先輩の9期の佐々木悦子さんが、最初は完歩できるだろうか?と心配をしておられましたが、日頃の鍛錬がモノを言ってスイスイと歩き終わられ、さぞかしご気分がよかったことと思います。心配をする必要もなかった、ということでした。

珍事が起きたのは、岩船寺を終えて、(添付コース図参照、右の三角形のところ)、最後尾をゆっくり歩いていた佐々木さん、三島さん、木山さん、松本の自称「足弱グループ」4名が予定通り「急な石段・坂道」を降りて、元の一本道に戻り先行する先頭部隊に追いつこうとするも、一向にその姿は見えず・・となった時でした。
なんと、後から分かったことですが、その時、先頭部隊は枝道に入って遠回りをしていたことから、ショートカットの足弱組が結果的にいつの間にか最先頭をひた歩きに歩いていたということでした。
全員が再度合流しようと、お互いに携帯を鳴らしたのですが、歩いている真っ最中では携帯が鳴ってもなかなか気がつかないということもあって、結局は元陸上部スターの岡さんの健脚に頼り、最先頭の足弱グル―プに追いついて止まっていただき、漸く全員が合流できました。 
十分に下見をしてコースがわかっていたので全く心配はしませんでしたが、下見をしていなければもっと慌てたのかもしれません。なかなか今後への示唆に富んだ体験をした次第でした。

また、今回は浄瑠璃寺、岩船寺ではご住職にご法話をお願いしました。これは、お願いしてよかったと思います。私も心に止め、勉強になったことが三つほどありましたので下記に報告します。
@ 仏さんにお祈りをする場合は、まず必ず懺悔をしてから、それから願い事をすること。
(それは、そうでしょうね)
A薬師様は過去を司る仏、弥勒様は現在を司る仏、阿弥陀様が未来(来迎)を司る仏なので、本来はその拝む順番を守った方がいいということ。これは初めて聞きました。今までに聞いていても忘れているのかもしれませんが・・。
・浄瑠璃寺の場合は、池を挟んで東に薬師仏(過去)、西に阿弥陀仏(来迎)があり、まず薬師仏に苦悩の救済を願い、それから振り返って池越しに阿弥陀仏を拝み、来迎を願うのが本来の礼拝順だとのこと。
B浄瑠璃寺の国宝「九体阿弥陀像」は、人間の努力や心がけは「下品下生」から始まり「上品上生」までの九つの往生の段階があると言う考えから、九つの如来様が祀られているとお聞きし、思わず我が身を振り返った次第でもありました。せめて、「中品中生」ぐらいではありたいものだと・・。

加えてもう一つ、これは山嵜さんのお手柄ですが、例の堀辰雄の「浄瑠璃寺の春」の中で、昭和18年の春、堀辰雄夫妻を案内した「寺僧の娘らしい、十六・七の、ジャケット姿の少女」は、お寺の受付のご返事では、90歳を超えてまだご存命で大阪で暮らしていらっしゃるということがわかりました。教科書で出会った「歴史上の人物」が近くにいらっしゃるという事実は新鮮でした。


以上、リスクマネジメントなど、いろいろな勉強もしながら、今年もまた皆様のご協力のお蔭で無事に有意義に、楽しく里山ハイキングを終了しましたこと、報告いたします。
田中由美子さん、最初から最後まで、有難うございました。


◆追記 「仏様に男女の別があるのか?」
ハイキング中、沢山の野にある石仏を見た皆さんから、仏様に男女の別があるのか?という、鋭くかつ素朴な質問があり、その場では三成さんから的確な解説をいただきましたが、その後、ネットで検索したら、次のような解説が見つかりましたのでご参考に供します。

本来「仏」に性別はありません。釈迦の入滅後、弟子達が表した教典の教え(仏性)を、概念として表現したものが「仏」であり、それを分かりやすく形に表したものが「仏像」なのです。
 「菩薩」は釈迦の若い頃の修行の姿で(悲、母の優しさ)を、「如来」は釈迦が悟りを開いた後の姿で(慈、父親の厳しさ)を表しています。奈良の大仏は毘盧遮那仏=大日如来、鎌倉の大仏は阿弥陀如来で、共に性別はありませんが、上記のように如来は「父性」を表しているため、男性的な表現をしていることが多いです。また、観世音菩薩や地蔵菩薩は逆に、「母性」を現す仏ですから女性として扱われることが多いです。
ちなみに、インド仏教から組み込まれた「天部」には性別があり、帝釈天、梵天、四天王、十二神将、金剛力士などは男神。吉祥天、弁財天、技芸天、鬼子母神などは女神となります。


浄瑠璃寺三重塔
浄瑠璃寺 浄土池と阿弥陀堂
浄瑠璃寺
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やぶの中三尊 
左から阿弥陀如来、地蔵菩薩 観世音菩薩
 鎌倉中期
岩船寺に向かう山道
岩船三体阿弥陀摩崖仏 通称「笑い仏」 鎌倉後期
ねむり仏
岩船寺で昼食
岩船寺三重塔
岩船寺
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大門石仏群
大門ほとけ谷 阿弥陀摩崖仏 当尾地方最大の丈六仏
小泉勝是さん(14期)が道中で描いたからすうり